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泉鏡花きのこ文学集成/飯沢耕太郎編
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『泉鏡花きのこ文学集成』
編者:飯沢耕太郎
出版社:作品社
判型:四六版
版元からの紹介:
「牛肉のひれや、人間の娘より、柔々(やわやわ)として膏(あぶら)が滴る……甘味(うまい)ぞのッ」
“世界に冠たる「きのこ文学」作家”泉鏡花の8作品を集成!
『原色日本菌類図鑑』より、190種以上のきのこ図版を収録!
その魅力を説く「編者解説 きのこ文学者としての泉鏡花」付!
お姫様は茸(きのこ)だものをや。
紅茸と言うだあね、薄紅(うすあこ)うて、白うて、美い綺麗な婦人(おんな)よ。
山路はぞろぞろと皆、お祭礼(まつり)の茸だね。坊様も尼様も交ってよ、尼は大勢、びしょびしょびしょびしょと湿った処(ところ)を、坊主様(ぼんさま)は、すたすたすたすた乾いた土を行く。湿地茸(しめじたけ)、木茸(きくらげ)、針茸、革茸(こうたけ)、羊肚茸(いぐち)、白茸、やあ、一杯だ一杯だ。
初茸なんか、親孝行で、夜遊びはいたしません、指を啣(くわ)えて居るだよ。……さあ、お姫様の踊がはじまる。(「茸の舞姫」より)
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