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トピーカ・スクール/ベン・ラーナー
¥3,190
著者: ベン・ラーナー 訳者: 川野 太郎 出版社: 明庭社 判型:四六版/378ページ 版元からの紹介: 2020年ピューリツァー賞最終候補作 「さて、これから一枚の写真を見せるので、ひとつお話を作ってもらいたい(…)この写真に写る人たちはなにを考えて、感じていると思う? まずは、なぜこのような場面に至ったのかを話してみてくれないか」 1997年、中西部カンザス州トピーカ。高校生のアダム・ゴードンは、恋人のあとを追って入り込んだ湖畔の邸宅がじつは見知らぬ他人の家だったことに気づいた。つかのま世界が組み替わり、アダムはその湖畔に立ち並ぶすべての家に同時にいる感覚に襲われる。同一性と、確からしさの崩壊。彼はすべての家にいたが、その家々の上空を漂うこともできた。 競技ディベートの名手であるアダムが、自分のスピーチのなかにみた暴力性。ともに臨床心理士のアダムの両親が紐解きはじめた、自らの記憶。母ジェーンの葛藤と彼女が闘ったトピーカの「男性たち」。父ジョナサンが心の奥底に隠した弱さ。言葉の限界にそれぞれの形で向き合う家族の語りに、アダムの同級生ダレンの声が織りこまれる。クラスにとってよそものだった彼を待つ事件。それは避けられなかったのか? そして、アダムが最後に選び取ったスピーチとは。 複数の声が時代を行き来しながら、米国の現在を照射する。『10:04』の作者が、知性と繊細さをもって共同体を描きだす、小説の新しい可能性。
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ゼリーのようなくらげ/髙田友季子
¥2,090
著者:髙田友季子 出版社:サウダージ・ブックス 判型:B6判変形/192ページ 版元からの紹介: 母が入院してから、夕食時に父がいないのは初めてだった。SNSを眺めながらドリアを口に運ぶ。相変わらず多くの人が怒っている。まともに国会で議論しない政府与党を批判する投稿にいいねをし、フェミニズムをテーマに作られた雑誌の宣伝をリポストする。スプーンが皿にあたる音が静かに響く。 (「金色のスープ」より) 五感に突き刺さる濃密な表現で女たちのやるせなさを突きつけてくる本書を読んでいると、おぞましいもの、厭わしいものをこそ真っ向から見据えろ、と叱咤される気がする。 推薦=小竹由美子(翻訳家) 読みながら登場人物たちの人生に思いを馳せると同時に、読者としての自分の人生も否応なしに続いていくという事実に圧し潰されそうになった。傑作だと断言できる。 推薦=岸波龍(機械書房) 閉じこもる者たちの、閉じているゆえの破綻——。地方の町を舞台に、恐れ、怒り、無力感を抱えながら生きる女性たちのリアルを、繊細な筆致で描く4つの短編小説。徳島在住、三田文學新人賞佳作を受賞した注目の作家による初の小説集。
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火明かり ゲド戦記別冊/アーシュラ・K.ル=グウィン
¥990
著者:アーシュラ・K.ル=グウィン 出版社:岩波書店 判型:新書/254ページ 版元からの紹介: まどろみながら彼は、はてみ丸のことを考えていた。あの小さな舟で旅した日々をーー。作家の没後に公表された〈ゲド戦記〉最後のエピソード「火明かり」。ほか、未邦訳短編「オドレンの娘」、『夜の言葉』よりエッセイ3編、講演「「ゲド戦記」を“生きなおす”」などを収めた、日本語版オリジナル編集による別冊。解説=中島京子
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水辺にて/梨木香歩
¥638
著者:梨木香歩 出版社:ちくま文庫 判型:文庫判/256ページ 版元からの紹介: ——on the water/off the water 物語の予感。 川のにおい、風のそよぎ、木々や生き物の息づかい。カヤックで水辺に漕ぎ出すと見えてくる世界を、物語の予感いっぱいに語るエッセイ。
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天使も怪物も眠る夜/吉田篤弘
¥924
著者:吉田篤弘 出版社:中公文庫 判型:文庫判/456ページ 版元からの紹介: 二〇九五年、〈壁〉によって東西に分断された東京では、誰もが不眠に悩まされていた。睡眠薬開発を巡る攻防は、やがて「眠り姫」の謎にたどり着く……。
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椿宿の辺りに/梨木香歩
¥759
著者:梨木香歩 出版社:朝日文庫 判型:A6判並製/384ページ 版元からの紹介: 三十肩と鬱に悩まされている皮膚科学研究員の山幸彦は、ふたごの鍼灸師のすすめで祖先の地、椿宿に向かう。山幸彦は、そこで屋敷と土地の歴史、自らの名前の由来を知り……。入りくんだ痛みとは何かを問う傑作長編。
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タングステンおじさん 化学と過ごした私の少年時代/オリヴァー・サックス
¥1,364
著者:オリヴァー・サックス 訳者:斉藤隆央 出版社:ハヤカワ文庫NF/早川書房 判型:文庫判/480ページ 版元からの紹介: 〔化学と過ごした私の少年時代〕のちの脳神経科医、サックス先生は年少時、化学に夢中だった。物質の化学的な振舞いの面白さを説き語ってやまないおじ、「タングステンおじさん」がいたから……科学への憧れを育んだ楽園の日々を綴りながら、化学史を一風変わった切り口から紹介ずる自伝的エッセイ、待望の文庫化。
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僕のなかの壊れていない部分/白石一文
¥924
著者:白石一文 出版社:文春文庫/文藝春秋 判型:文庫判/365ページ 版元からの紹介: 三人の女性と関係を持つ「僕」の絶望――名著再刊! 美しい恋人・枝里子をサプライズで京都に誘った。それは、昔の男が住む京都で枝里子の反応を見ようという悪意だった――。 東大卒出版社勤務、驚異的な記憶力を持つ「僕」は、同時に3人の女性と関係を持ちながら、誰とも深いつながりを結ぼうとしない。その「理屈っぽく嫌味な」言動の奥にあるのは、絶望なのか渇望なのか。彼の特異な過去を知った枝里子は。 「自分の人生にとって本質的なことからは決して逃れられない」 切実な言葉たちが読む者の胸を貫いてロングセラーとなった傑作が 文春文庫で登場。(解説・窪美澄)
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クジラ、コオロギ、人間以外
¥1,650
企画、編集、デザイン:谷脇栗太 出版社:犬と街灯 判型:B6変型/332ページ 版元からの紹介: 「クジラ、コオロギ、人間以外の存在が歌う歌」についての小説や詩歌を募集して、一冊の本を作りました。あなたの家のクローゼットで、電脳空間で、人類文明崩壊後の世界で、あらゆる場所で人間以外の存在(鳥、猫、ハンガー、もやし、建造物や天体や概念 etc…)が歌いはじめる84編。 執筆者 あさとよしや、阿下潮、化野夕陽、安孫子正浩、雨海月子、あめのにわ、阿蒙瞭、新棚のい、いしころ文庫、糸川乃衣、井上彼方、うっかり、エハガキ華、絵文字、オカワダアキナ、かくのじ、カミヤマショウキ、唐桃、涸れ井戸、川咲道穂、川島むー、川原寝太郎、岸谷薄荷、北野勇作、久乙矢、鞍馬アリス、玄川透、桑井ゆた、げんなり、こい瀬伊音、紅坂紫、児島成、西藤智、坂崎かおる、佐々木倫、笹良弥月、貞久萬、サンシ・モン、しあわせサッチー、恣意セシル、釈迦堂入文、瀬戸千歳、せらひかり、千梨、高緑千恵子、只鳴どれみ、谷脇栗太、淡中 圏、手袋と風船、藤和、仲内ひより、南雲マサキ、蜂本みさ、はったみさと、花草セレ、原里実、ばらぬす、晴、春乃夜永、万庭苔子、柊木葵、笛地静恵、藤井佯、舟樢いま、風呂、暴力と破滅の運び手、穂崎円、星野いのり、蒔狐、正井、松尾模糊、祭ことこ、三日月月洞、水谷なっぱ、三刀月ユキ、宮月中、芽論総太、望月一星、森山ねこたろう、山崎朝日、幸若希穂子、葉々、六角辰巳、Y.田中 崖
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青い靴をはいて歩く/関根 愛
¥1,700
著者:関根 愛 表紙画 :阿部 海太 装丁:domeki 印刷・製本:イニュニック B6サイズ/131ページ 発⾏⽇ :⼆〇⼆五年五⽉⼗⼀⽇ 初版第⼀刷 版元からの紹介: 短篇集『青い靴をはいて歩く』 そこにいると教えて--- ---わたしはここにいる あなたが履く靴は、あなたを前へはこんでいくーーー。 "あなた"が履いてきた8つの靴を通して語られる、わたしと家族の傷と愛の物語。 ---もくじ--- 羽根のはえた靴 花びらをかぞえる靴 ボスの靴 幸運の靴 ハワイからきた靴 背伸びの靴 深夜を走る靴 青い靴
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私の小さな日本文学/チェ・スミン 編
¥1,760
編者:チェ・スミン 出版社:夏葉社 判型:文庫判・ハードカバー/208ページ 版元からの紹介: 『私の小さな日本文学』という日本近代文学のアンソロジーを刊行いたします。 選者は韓国で「夜明けの猫」という出版社と「セゴ書林」という書店を営むチェ・スミンさん。芥川龍之介、片山廣子、伊藤野枝、田中貢太郎らの掌篇をセレクトする彼女の新鮮はとにかく新鮮です。
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上林曉の本 海と旅と文と/山本善行 編
¥2,640
著者:上林曉 編者:山本善行 写真:鈴木理策 出版社:夏葉社 判型:四六変形判・ハードカバー/238ページ 版元からの紹介: カバー写真のほか巻頭の32ページを鈴木理策さんが撮り下ろして下さった、とても美しい本です。山本善行さんによる渾身の全小説案内、左手で書いた直筆原稿、木山捷平、野呂邦暢、関口良雄らが綴った随筆を収録しています。
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星を撒いた街/上林曉
¥2,420
著者:上林曉 撰者:山本善行 出版社:夏葉社 判型:四六判・上製/240ページ 版元からの紹介: 上林曉傑作小説集『星を撒いた街』 30年後も読み返したい美しい私小説。 ・著者紹介 上林曉(かんばやし・あかつき) 一九〇二年、高知県生まれ。本名、徳廣巖城(とくひろいわき)。 東京大学英文科卒。改造社の編集者を経て、作家の道に進む。 精神を病んだ妻との日々を描いた『明月記』(一九四二)、 『聖ヨハネ病院にて』(一九四六)、脳溢血によって半身不随となった 後に発表した『白い屋形舟』(一九六三)、『ブロンズの首』(一九七三) など、長きにわたって優れた短編小説を書き続けた。八〇年没。 ・撰者紹介 山本善行(やまもと・よしゆき) 一九五六年、大阪府生まれ。関西大学文学部卒。 古書店「善行堂」店主。関西の情報誌を中心に執筆活動を続ける。 著書に『古本泣き笑い日記』(青弓社・二〇〇二)、 『関西赤貧古本道』(新潮社・二〇〇四)、 『古本のことしか頭になかった』(大散歩通信社・二〇一〇)、 岡崎武志との共著に『新・文學入門』(工作舎・二〇〇八)がある。 書物雑誌「sumus」代表。 収録作は、収録作は、「花の精」、「和日庵」、「青春自画像」、 「病める魂」、「晩春日記」、「諷詠詩人」、「星を撒いた町」の7編。 あらゆる年代から選んだ、まさに上林のオールタイム・ベストです。
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象・近場/man(シリーズ人間2)
¥1,320
シリーズ:シリーズ人間2 タイトル:象・近場(ぞう・ちかば) 著者: man(まん) ジャンル:小説(短編集) 内容:小説(7編)+4コマ漫画(8話)+著者インタビュー(4,000字) 定価:本体1200円+税 A6文庫判/並製/80ページ 装画・ロゴ:散歩鳥 装丁・組版:山内宏一郎(SAIWAI DESIGN) 発行所:新世界 版元からの紹介: 文字を追うことでしか入り込めない世界。ひらがなで紡がれる、manワールド全開のデビュー作! 現実の精密な観察者として、人物・動物・ものの生々しい感触を描く。さきの見えないあたらしい調べのなかで、なつかしい感覚を呼び起こさせる異色の小説集。 三歳の〈わたし〉が見えてくる「光線」、三年二組の教室からはじまる「たかしくん」、仕事の連絡を待つ「天」、カニを食べにホテルにきた「大和田」、ある日の電車のなかの様子を描いた「しゃりょう」、長距離バスで渋滞に巻き込まれる「もくよう、ひる」、表題作「象・近場」など全7編。 巻末には、著者描き下ろしの4コマ漫画8点を収録。4,000字の著者インタビュー掲載。 ・目次 ────────── 光線 たかしくん 象・近場 天 大和田 しゃりょう もくよう、ひる 4コマ漫画(コウイチ、変転、あの日の、何十年、しのはら、有名人、田園、夏山) 著者インタビュー あとがき ────────── ・著者略歴 ────────── man(まん) 1995年生まれ、亥年。覚えている古い記憶はふとんに横になって見たビデオデッキの 7:00 ────────── ・2025年1月、「シリーズ人間」創刊! 基本的に商業デビューしていない様々な立場の書き手を著者に立て、エッセイや小説、詩、短歌、4コマ漫画、画集、写真集とジャンルレスな内容(基本:文+インタビュー)の文庫シリーズを目指します。年3冊ペースで刊行予定。 ・「創刊のことば」 ──シリーズ人間発刊に際して── デヴィッド・フィンチャー監督作品に『SE7EN(セブン)』という映画がある。その作品について考えるとき、豪華な俳優陣や度肝を抜かれるような物語ではなく、あるシーンが思い出される。 ベテラン刑事・サマセット(モーガン・フリーマン)が新米刑事・ミルズ(ブラッド・ピット)の妻からディナーに誘われ、3人で食事をともにするシーンである。 突然、3匹の大型犬が吠え、地響きが起こり家は大きく揺れる。3人は一瞬黙り、サマセットが失礼といい大笑いをはじめると、それに釣られミルズ夫妻も笑いはじめる。不動産屋に騙されて、地下鉄が走るたびに揺れる家を契約したことを恥ずかしそうにミルズが白状する場面だ。 物語の伏線になる大事なシーンというわけではない。しかしそのシーンはある人にとって『セブン』のすべてである。 本シリーズでは、いつもなら見落とされてしまうような瑣末なことを描くことに主眼を置いている。著者の人生をわかりやすく紹介するようなものではない。ただ、どんな人もそれぞれの仕方で世界を見ていて、その断片こそが存在を支えているのではないだろうか。だれもが忘れてしまいそうな断片によって、その人間の姿をありありと浮かばせてみたい。 (2025年1月 新世界編集部)
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ボッティチェリ 疫病の時代の寓話/バリー・ユアグロー
¥792
著者:バリー・ユアグロー 訳者:柴田元幸 発行:ignition gallery 判型:A6判/中綴じ/44ページ 装幀:横山雄(BOOTLEG) 版元からの紹介: 「想像すること」が最も速く、最も深く、この始まりも終わりもない災厄の根をつかむ。そして人々の心に張り巡らされたそれは、我々をどのように揺さぶり、変容するのか。夢は息絶え、あるいは再生するのか。バリー・ユアグローの驚くべき12の寓話は、それらを語り、記録し、証明する。 ――川上未映子 アメリカ在住の作家・バリー・ユアグローが、2020年4月5日から5月11日にかけて、都市封鎖状態の続くニューヨークから柴田元幸に送った12の超短篇を、1冊の小さな本にしました。 -- 「世界」が故障した「世界」へと大勢の人が強制的に連れてこられた時代に、ここに集められた寓話は、大きな救いになるだろう。驚くべき着想と空想の数々は、それがどんなに残酷でも、私の狂気の核心に触れ、癒し、救った。作家の「空想」の強烈な可能性に恍惚とした。恐怖は空想の力により、新しい世界と言葉で再構築された。この恐ろしい時代に、この物語が生まれ、変化した世界に刻まれたことに、奇跡を見たような気持ちでいる。 ――村田沙耶香 --- “ある時期にひとつの場所を包んでいた、だがほかの多くの場所でもある程度共有されていた特殊な(と思いたい)空気を封じ込めた小さな本。”(柴田元幸「この本について」より) 「正気を保つため」に書かれた疫病の時代の寓話。 《収録作品》 ボッティチェリ / ピクニック / 鯨 / 影 / スプーン / 猿たち / 戸口 / サマーハウス / 風に吹かれて / 岩間の水たまり / 夢 / 書く この本について(柴田元幸)
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【サイン本】天国ではなく、どこかよそで/レベッカ・ブラウン
¥2,200
著者:レベッカ・ブラウン 訳者:柴田元幸 装画: 金井冬樹 デザイン:横山雄 発行:ignition gallery 発行所:twililight 判型: B6変形/上製本/136ページ ISBN:978-4-9912851-8-9 訳者、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: 『体の贈り物』『私たちがやったこと』『若かった日々』などで知られるアメリカの作家、レベッカ・ブラウンの最新物語集『天国ではなく、どこかよそで』。 「三匹の子ぶた」を踏まえた「豚たち」、「赤ずきんちゃん」を踏まえた「おばあさまの家に」をはじめ、ピノキオ、ヘンゼルとグレーテルなど、さまざまな伝統的物語やキャラクターを、レベッカ流に夢見なおした物語が並びます。 語り直しの切り口は作品によってさまざまですが、単一のメッセージに還元できない、怒りと希望をシンプルな文章で発信しつづける作家の神髄が伝わってくる、豊かな「サイクル」が出来上がっています。 訳者の柴田元幸さんが「この人の文章は言葉というよりほとんど呪文のようなリズムを持っている」と評するレベッカ・ブラウン独自の文体によって、 読者を暗闇から光へ、厳しさから愛へ、私たちが今いる場所から私たちが行くべき場所へと導きます。 “ここにあるのは「めでたし、めでたし」の死角を辛辣なユーモアで照らしてみせる物語。 そうやってわたしたちが見えないふり、聞こえないふり、わからないふりをしてきた暴力の轍を、怒りでもって洗い出し、祈りをこめて語り直すのだ。” 倉本さおり “そこではみんな、ほんものの肉体を得る。 痛みに苛まれ、声は揺らぎ、歪み、叫ぶ。 闇の中、寓話は変わり果てた姿になって 赦しを求め、こちらを見つめる。 どうしてこんなに、愛おしいのだろう。” 大崎清夏
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【サイン本】ゼペット/レベッカ・ブラウン
¥1,760
著者:レベッカ・ブラウン 訳者:柴田元幸 絵:カナイフユキ 装幀:横山雄(BOOTLEG) 発行:ignition gallery 発行所:twililight 判型: w148×h196mm/並製本+両雁だれ/28ページ 訳者、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: 『体の贈り物』『若かった日々』『家庭の医学』などで知られるアメリカの作家、レベッカ・ブラウンの小品「ゼペット」を、柴田元幸の翻訳、カナイフユキの絵によって、絵本にしました。レベッカ・ブラウンが夢見なおした『ピノキオ』です。 人間になんかなりたくない、命なんかほしくないと言い続けるピノキオを抱えた老人のお話。 その悲しみと優しさに、カナイフユキの色彩が寄り添います。 不器用で、弱く、失敗して負けていく人、周縁化されていく人のために、そういう人たちが孤独ではないんだと思えるように描いているカナイフユキと、レベッカ・ブラウンによる、「祈り」にも似た絵本が誕生しました。 レベッカ・ブラウンの「ゼペット」(“Geppetto”)は、2018年に刊行されたNot Heaven, Somewhere Else: A Cycle of Stories(『天国ではなく、どこか別の場所 物語集』、Tarpaulin Sky Press刊、邦訳なし)に収められている。この物語集には、「三匹の子ぶた」を踏まえた“Pigs”、「赤ずきんちゃん」を踏まえた“To Grandmother’s House”をはじめ、ヘンゼルとグレーテル、ハンプティ・ダンプティなど、さまざまな伝統的物語やキャラクターがレベッカ流に語りなおされた物語が並んでいる。語り直しの切り口は作品によってさまざまで、単一のメッセージに還元できない、豊かな「サイクル」が出来上がっている。100ページに満たない小著だが、怒りと希望をシンプルな文章で発信しつづけるレズビアン作家レベッカ・ブラウンの神髄が伝わってくる。 「ゼペット」は厳しさと優しさが並存していて、中でもとりわけ味わい深い。 (柴田元幸)
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【サイン本】写字室の旅 闇の中の男/ポール・オースター
¥880
著者:ポール・オースター 訳者:柴田元幸 出版社:新潮文庫/新潮社 判型: 文庫判/352ページ 訳者、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: デビューから40年。円熟の極みを示す傑作中編を合本し、新しい物語が誕生した! 奇妙な老人が奇妙な部屋にいる。彼は何者なのか、何をしているのか――。オースター作品に登場した人物が次々と現れる「写字室の旅」。ある男が目を覚ますとそこは9・11が起きなかった21世紀のアメリカ。代わりにアメリカ本土では内戦が起きている。闇の中から現れる物語が伝える真実。年間ベスト・ブックと絶賛された「闇の中の男」。傑作中編二作を合本。ここに新たな物語空間が立ち上がる。
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【サイン本】オラクル・ナイト/ポール・オースター
¥737
著者:ポール・オースター 訳者:柴田元幸 出版社:新潮文庫/新潮社 判型: 文庫判/352ページ 訳者、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: 謎めいた物語がニューヨークの闇の中で輝き、弦楽四重奏のように響き合う長編小説。 重病から生還した34歳の作家シドニーはリハビリのためにブルックリンの街を歩き始め、不思議な文具店で魅入られたようにブルーのノートを買う。そこに書き始めた小説は……。美しく謎めいた妻グレース、中国人の文具店主M・R・チャン、ガーゴイルの石像や物語内の物語『神託の夜(オラクル・ナイト)』。ニューヨークの闇の中で輝き、弦楽四重奏のように響き合う重層的な愛の物語。魅力溢れる長編小説。
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【サイン本】ムーン・パレス/ポール・オースター
¥1,100
SOLD OUT
著者:ポール・オースター 訳者:柴田元幸 出版社:新潮文庫/新潮社 判型:文庫判/544ページ 訳者、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: 失い続けた先に、何があるのだろう。孤独で、もやもやした青春――。名手オースターの人気No.1作品。 人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた……。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。
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【サイン本】ブルーノの問題/アレクサンダル・ヘモン
¥2,970
著者:アレクサンダル・ヘモン 訳者:柴田元幸・秋草俊一郎 装幀:緒方修一 出版社:書肆侃侃房 判型: 四六判/上製/288ページ 訳者、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: 現代アメリカ文学を代表する作家のひとり、アレクサンダル・ヘモンの最初期短編集 故郷喪失者は言語の中でのみ生きることができる たとえどこにいようが故郷には決していないのだから 原書が刊行されてから二十数年が経過し、サラエヴォ包囲自体は過去の出来事になったかもしれないが、むろん優れた小説はこの程度の時間で古びるものではないし、そもそもユーゴスラヴィアの惨事と消滅そのものは過去の話であっても、同じような事態が日々世界で生じていることは言を俟(ま)たない。(柴田元幸) ヘモンがナボコフとのあいだに感じる親近感は語彙という面からくるものではなく、故郷を喪失した作家が共通して抱える「埋め合わせてくれるものは言語だけ」という感覚だという。(秋草俊一郎) A・ヘモンによる『島』は、彼が英語で書いたもっとも初期の作品のひとつである。ヘモン氏はボスニア人であり、一九九二年にアメリカを旅行中、ボスニアでの戦争により帰国の道を絶たれてアメリカに移住した。『島』 を書いたのは一九九五年の春、もはや母語で小説を書くこともできず英語でもまだ書けなかった三年間を耐えた末のことだった。 スチュアート・ダイベック(『プラウシェアーズ』 1998年春号) もくじ: 島 アルフォンス・カウダースの生涯と作品 ゾルゲ諜報団 アコーディオン 心地よい言葉のやりとり コイン ブラインド・ヨゼフ・プロネク&死せる魂たち 人生の模倣 訳者あとがき 著者プロフィール: アレクサンダル・ヘモン(Aleksandar Hemon) 1964年、旧ユーゴスラヴィアの構成国だったボスニア・ヘルツェゴビナ社会主義共和国の首都サラエヴォで生まれる。大学卒業後、メディア関係の仕事を経て、1992年に文化交流プログラムによって渡米。滞在中にサラエヴォがセルビア人勢力によって包囲されたことで帰国不能になり、そのままアメリカに留まる。母語ではない英語で作品を発表するようになり2002年に発表した長編『ノーホエア・マン』で高く評価される。ほかの代表作に『ラザルス計画』(未訳、2008年)や『世界とそれがかかえるすべて』(未訳、2023年)などがある。現在はプリンストン大学でクリエイティブ・ライティングを教えるほか、『私の人生の本』のようなエッセイ、音楽、映画・ドラマ脚本といった分野でも活動している。映画『マトリックス レザレクションズ』ではラナ・ウォシャウスキー、デイヴィッド・ミッチェルと脚本の共同執筆も務めた。 訳者プロフィール: 柴田元幸(しばた・もとゆき) 1954年生まれ。東京大学名誉教授、翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、スチュアート・ダイベックなどアメリカ現代作家を中心に翻訳多数。著書に『アメリカン・ナルシス』、訳書にジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』、マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒けん』、エリック・マコーマック『雲』など。講談社エッセイ賞、サントリー学芸賞、日本翻訳文化賞、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌『MONKEY』日本語版責任編集、英語版編集。 秋草俊一郎(あきくさ・しゅんいちろう) 1979年生まれ。日本大学准教授。専門は比較文学・翻訳研究など。著書に『アメリカのナボコフ―塗りかえられた自画像』、『「世界文学」はつくられる 1827-2020』、訳書にドミトリイ・バーキン『出身国』、ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフの塊 エッセイ集1921-1975』、アレクサンダル・ヘモン『私の人生の本』、ホイト・ロング『数の値打ち―グローバル情報化時代に日本文学を読む』(共訳)など。
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【サイン本】 4 3 2 1 /ポール・オースター
¥7,150
著者:ポール・オースター 訳者:柴田元幸 出版社:新潮社 判型: A5判/800ページ 訳者、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: 1947年、ユダヤ系の家庭に生まれたアーチボルド・ファーガソンの、驚くべき仕掛けに満ちた成長物語。ドジャースLA移転、ケネディ暗殺、ベトナム反戦運動。50~70年代のアメリカを生きる若者の姿を、緻密で独創的な四重奏で描く。「この本を書くために一生待ち続けていたような気がする」というポール・オースターの、作家人生の総決算となる大長篇。
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【サイン本】『ハックルベリー・フィンの冒けん』をめぐる冒けん/柴田元幸
¥3,080
編著:柴田元幸 出版社:研究社 判型: A5判/並製/170ページ 訳者、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: 『ハックルベリー・フィンの冒けん』てゆうホンヤク本をよんでない人はおれのこと知らない、とはかぎらなくて、そのまえに出たいろんなホンヤク本で知ってる人もおおぜいいるらしいんだけど、まあそのへんはどっちでもかまわない。『ハックルベリー・フィンの冒けん』はシバタ・モトユキさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはただしくホンヤクしてあるらしい。おれはニホンご・よめないけど、ともだちのクマダカメキチがそういってた。ところどころゴヤクもあるけど、まあだいたいはただしくホンヤクしてあるとカメキチはいう。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはゴヤクするものだから。(本文より) 目次: あいさつ ハックルベリー・フィンによる紹介 この本について 編訳著者による紹介 I 『ハック・フィン』入門(構成・執筆 柴田元幸) 1. ハック・フィン』基本情報 ハックルベリー・フィンとは/マーク・トウェインとは/『ハックルベリー・フィンの冒けん』の構成/ 同時代の評価/文学的意義、後世への影響 『ハックルベリー・フィンの冒けん』の構成/同時代の評価/文学的意義、後世への影響 2.『ハックルベリー・フィンの冒けん』の英語 標準でない英語のあたたかさ/ハックが「語った」もの――と同時に「書いた」もの 3. 『ハックルベリー・フィン』第1章徹底読解 対訳+詳注+〔さらにうるさいことを言えば〕 4. ハック英語辞典 adventureからtroubleまで 5. ハック名場面 厳しい自然/のどかな自然/ハックの葛藤/人間相手の冒険/ジムとハックの珍問答/哲学者ジム II 『ハック・フィン』をどう読むか 1. ハックはどう読まれてきたか T・S・エリオット/大江健三郎/トニ・モリスン/平石貴樹 2. 現代アメリカ作家が語る『ハック・フィン』 レアード・ハント/レベッカ・ブラウン/スティーヴ・エリクソン(書き下ろし) 3.『ハックルベリー・フィンの冒けん』書評 横尾忠則/池内紀/谷崎由依 III 『ハック・フィン』から生まれた新たな冒けん 1. ハックの末裔たち トウェイン自身による続篇/J・D・サリンジャー/ソール・ベロー/大江健三郎/ジョン・シーライ/ ラッセル・バンクス/ジョン・クリンチ/ノーマン・ロック/ロバート・クーヴァー/ カート・ヴォネガット 2. ノーマン・メイラー「ハック・フィン、百歳でなお生きて」 3. ジョン・キーン『リヴァーズ』 IV 『冒けん』に入らなかった冒けん 「ジムのユウレイばなし」 「筏のエピソード」 編著者あとがき 著者紹介: 柴田元幸(しばた もとゆき) 翻訳家、東京大学名誉教授。東京都生まれ。ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソンなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。2010 年、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』(新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。マーク・トウェインの翻訳に、『ハックルベリー・フィンの冒けん』(研究社)、『トム・ソーヤーの冒険』『ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選』(新潮文庫)、最近の翻訳に、スチュアート・ダイベック『路地裏の子供たち』、スティーヴン・ミルハウザー『私たち異者は』(白水社)、編訳書に、レアード・ハント『英文創作教室 Writing Your Own Stories』(研究社)など。文芸誌『MONKEY』、および英語文芸誌Monkey Business 責任編集。2017 年、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。
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【サイン本】ナイン・ストーリーズ/J・D・サリンジャー
¥891
SOLD OUT
著者:J・D・サリンジャー 訳者:柴田元幸 出版社:河出書房新社 判型:文庫、320ページ 翻訳家、柴田元幸さんのサイン入り! 版元からの紹介: 砂浜で男が少女に語る、ある魚の悲しい生態(『バナナフィッシュ日和』)、客船で天才少年に起きた出来事(『テディ』)。不確かな現実を綱渡りで生きる人々を描いた、アメリカ文学史に燦然と輝く九篇。