【柴田元幸氏・サイン入】ウォートン怪談集/イーディス・ウォートン
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『ウォートン怪談集』
著者:イーディス・ウォートン
訳者:柴田元幸
出版社:葉々社
版元からの紹介:
葉々社では、海外文学の裾野を広げるために新たに「小さな海外文学」というシリーズをはじめます。
本シリーズは、おもに海外文学に触れてこなかった読書家の方たちを対象に、短篇を2〜3篇収録し、気軽に手にとってもらえるように工夫しています。
シリーズ第1弾&第2弾は、柴田元幸さんの翻訳による2作品です。
本書、『ウォートン怪談集』は、「小間使の呼び鈴」「夜の勝利」「ミス・メアリ・パスク」、3つの短篇を収録しています。
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ぐだぐだ煮えきらない物言いを続けてしまったが、要するに何を言いたかったかというと、ここに収めたウォートンの幽霊譚三本を読むにあたって、もちろんどう読もうと読者の自由なのだが、事実を割り出さないといけないというプレッシャーを感じる必要はない、ということである。「小間使の呼び鈴」であれば一介の使用人である病み上がりの小間使が女主人や男主人に対して感じる感情の起伏に、「夜の勝利」なら秘書として他人に依存して生きないといけないがゆえに何とも屈折した主人公の心理の揺れに、まずは寄り添ってみるのも悪くないと思う。(ウォートンは上流階級の育ちだが、目下の立場に置かれた人物の心理を描くのが本当に巧い)。「ミス・メアリ・パスク」であればいっそ、幽霊ということにされているメアリ・パスク嬢の身になってみて、「一度死んだ人間」の感じる(そして「生きていた」ときも感じていた)孤独の深さに思いをはせる、とか……怖がっている人間を外から見るのではなく、怖がっている人間になって読むと、ウォートンの怪談は(まあすぐれた怪談はみんなそうだろうが)本当に刺さる。
(訳者あとがきより)
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